今回はAMD RyzenのCPU(5000番台)の電力を制限する方法を調べた結果を紹介していきます。BIOSのオーバークロックの設定をするので保証が効かなくなります。もし失敗しても責任は負いかねますので自己責任でお願いします。
PCの電源を入れます。起動している場合は再起動してください。
起動後すぐ表示されるメーカーロゴが出たらF2キーまたはDeleteキーを押します(メーカーごとに異なる場合があります)。
Advancedタブの「AMD Overclocking」をエンター。
保証が効かなくなる説明があります。了承できる場合は「Accept」をエンター。
「Precision Boost Overdrive」をエンター。
「Precision Boost Overdrive」でエンターを押して「Advanced」を選択し、PBO Limitsで「Manual」を選択。PPT Limit、TDC Limit、EDC Limitを設定することで電力を制限することができます。
今回はRyzen 9 5900XにRyzen 5 3600XのデフォルトのPPT、TDC、EDCを設定します。
5900Xのデフォルト設定はPPT 142W TDC 95A EDC 140Aです。
3600Xのデフォルト設定はPPT 128W TDC 80A EDC 125Aなのでこれを設定します。
PPT、TDC、EDCとは、
設定したらExitタブの「Save Changes and Exit」をエンターで設定を保存して再起動します。
CINEBENCH R23 Multi Core スコア
CINEBENCH R23 Multi Core 平均温度
結果は以上のようになりました。スコアはPPTを142Wから128Wに変更したことで約6%ダウン、温度は約9~10%ダウンすることがわかりました。
スコア6%ダウンに対して、温度が9~10%もダウンしているので電力制限の効果はかなりあるのではないかと思います。
今回使用するPCのスペック
今回使用するPCのスペックです。CPU | AMD Ryzen 9 5900X |
CPUクーラー | ID-COOLING SE-226XT BLACK |
マザーボード | ASRock X570S PG Riptide |
メモリ | DDR4-2666(Corsair CMK16GX4M2A2666C16) |
SSD | Crucial MX500 CT500MX500SSD1JP |
電源ユニット | MSI MPG A850GF |
OS | Windows 10 21H2 |
ケース | Fractal Design Define R5 |
グリス | ainex GS-07(ナノダイヤモンドグリス) 熱伝導率:8.0W/m・K |
Precision Boost Overdrive 2
Precision Boost Overdrive 2(以下PBO)はOC(オーバークロック)用の設定ですが、電力を上げるだけではなく下げて使うこともできます。電力を下げればCPUの温度も下がり、夏の気温で熱くなるCPUをコントロールできます。設定方法
BIOSの設定はメーカーごとに差があります。今回はASRockのBIOSで説明します。PCの電源を入れます。起動している場合は再起動してください。
起動後すぐ表示されるメーカーロゴが出たらF2キーまたはDeleteキーを押します(メーカーごとに異なる場合があります)。
Advancedタブの「AMD Overclocking」をエンター。
保証が効かなくなる説明があります。了承できる場合は「Accept」をエンター。
「Precision Boost Overdrive」をエンター。
「Precision Boost Overdrive」でエンターを押して「Advanced」を選択し、PBO Limitsで「Manual」を選択。PPT Limit、TDC Limit、EDC Limitを設定することで電力を制限することができます。
今回はRyzen 9 5900XにRyzen 5 3600XのデフォルトのPPT、TDC、EDCを設定します。
5900Xのデフォルト設定はPPT 142W TDC 95A EDC 140Aです。
3600Xのデフォルト設定はPPT 128W TDC 80A EDC 125Aなのでこれを設定します。
PPT、TDC、EDCとは、
・PPT Limit(Package Power Target Limit)
CPUの電力[W]の設定。プロセッサーがソケットから受け取る電力の値を設定する項目。
・TDC Limit(Thermal Design Current Limit)
長時間の電流[A]の設定。VRMが持続的に供給する電流の値を設定する項目。
・EDC Limit(Electrical Design Current Limit)
短時間の電流[A]の設定。一時的にVRMが供給するピーク時の電流の値を設定する項目。
設定したらExitタブの「Save Changes and Exit」をエンターで設定を保存して再起動します。
ベンチマークと温度
Ryzen 9 5900XのPBOデフォルト設定(PPT 142W TDC 95A EDC 140A)と手動で設定(PPT 128W TDC 80A EDC 125A)した場合のベンチマークと温度を比較していきたいと思います。室温は24.5度前後です。CINEBENCH R23 Multi Core スコア
スコア | |
PPT 142W TDC 95A EDC 140A | 20418 |
PPT 128W TDC 80A EDC 125A | 19118 |
CINEBENCH R23 Multi Core 平均温度
CPU (Tctl/Tdie) [°C] | CPU CCD1 (Tdie) [°C] | CPU CCD2 (Tdie) [°C] | |
PPT142W TDC95A EDC140A | 70.1 | 69.0 | 63.7 |
PPT128W TDC80A EDC125A | 63.6 | 62.1 | 57.8 |
結果は以上のようになりました。スコアはPPTを142Wから128Wに変更したことで約6%ダウン、温度は約9~10%ダウンすることがわかりました。
スコア6%ダウンに対して、温度が9~10%もダウンしているので電力制限の効果はかなりあるのではないかと思います。